前のページ   次のページ

3.3 地球の公転周期および月の公転周期

 中心の天体に取込まれずに公転している星間物質はその位置の重力ポテンシャルに対応した周回する角運動量を持っています。 惑星の公転周期は重力場で平衡状態を保つ公転の速度で決まります。
太陽(MSun)と地球(mEarth)の間の万有引力(FGは Eq.5 で与えられます。

      (FG)=(G・MSun・mEarth)/(RSun-Earth)2     (5)

他方、速度(v)で公転運動する地球の遠心力(Fcentrifugal force)はEq.5 で与えられます。

      (Fcentrifugal force)=(mEarth・(v)2/(RSun-Earth  (6)

Eq.5 =Eq.6 として、速度(vEarth)を求めると  v = 2.989x104m/s となり、周期(TEarth)を求めると、Eq.7 で与えられます。
        TEarth=2π・RSun-Earth /vEarth =363 days  (7)

月の公転周期は上述のEq.5~Eq.7の関係において地球の質量(MEarth)と月の質量(mMoonを用いて、Eq.8 で与えられます。
         TMoon=2π・REart-Moonh /vMoon =27.4 days (8)

月の公転軌道が地球に近い短い場合には公転速度が速くなります。

3.4 惑星の自転速度が惑星の質量に比例する関係

  星間物質が重力の中心に向かって収縮した状態では重力のポテンシャルが強くなり、平衡する運動エネルギ―が増加して回転が速くなります。 惑星や衛星は中心星に接近すると公転周期が短くなるので、中心星の自転の偏心を媒介すれば自転周期も短くなります。 中心の天体が成長する際に、周回しながら落下する星間物質を含むことによってその自転周期が短くなります。そこで、天体の成長が自転周期に関与します。

        図7. 惑星の質量に反比例する惑星の自転運動の周期

 図7.に示すように太陽系の惑星は自転が非常に遅い水星と金星を除くと、惑星の質量に反比例して自転周期が短くなります。 これは惑星が惑星の回りを周回する物質を取り込んで成長したことを示します。太陽の自転周期は25.38日であり、太陽の自転速度が遅いのは3.3節で述べるように、太陽に取り込まれる天体の自転が太陽の自転を相殺する効果もあります。

3.5 自転と公転が同期す静止軌道で形成された衛星

 太陽系の衛星の多くが主たる星に対して同じ面を向けて公転しています。これは主惑星の重力によって誕生して成長した証拠です。主惑星の重力が作用して惑星の方向に引き延ばされる環境で衛星がポイント接触によりスカスカの状態で誕生して大きくなると、 衛星の重心が主惑星側に移動した状態で形成されるので衛星の公転と自転が一致することになります。こうして、太陽系の衛星の多くが月が地球に向いているように主たる星に対して同じ面を向けて公転しています。
 月の公転も自転も27.4日です。1日で自転している地球とゆっくり公転する月の間の万有引力の作用により地球の海水により潮汐効果が発生します。 速い速度で自転している地球にゆっくり公転する月が万有引力が作用するおで、月の公転が地球の自転に加速されて公転速度が加速されて地球から離れて行きます。 現在、地球から月までの距離は約38万kmあり、月は1年間で約3.8cmずつ離れています。過去の時代も同じ後退速度であったとして 地球と月までの距離(3.8x108) mを3.8x10-2mで割れば1010となり、今日の距離になるのに 100億年かかったことになります。ところが、月が地球に近い場合に 月による地球におよぼす潮汐効果が大きいです。3.7説で月が誕生して形成されたのは地球の静止軌道附近であったと説明します。 (last modified Feb/28 2023)


目次                           -3.2-